第63期王将戦七番勝負渡辺明王将対羽生善治三冠第4局

  第63期王将戦七番勝負第4局は2月18、19日に青森県弘前市「弘前市民会館」にて行われた。羽生三冠の先手となった本局は、居飛車党の渡辺王将がゴキゲン中飛車を採用、意表の出だしとなった。ゴキゲン中飛車の対策は様々にあるが、羽生は「超速▲3七銀」と呼ばれる、対ゴキ中に最も有力な対策で対抗。対する渡辺も左銀を素早く4四へ繰り出し、互いの銀が4六と4四で向かい合う「銀対抗」と呼ばれる形となった。その後は急戦調の将棋となり、羽生は37手目▲2四歩から飛車先の歩を交換した後、41手目▲2五飛と中段飛車に構え、積極的に主導権を握ろうとする。47手目▲5五同銀と中央で銀交換が行われたところで1日目が終了、先手の動きに後手がどう対応するかが勝負の分かれ目となった。
 封じ手となった48手目△7四歩は将来の▲7五桂を消しながら陣形を引き締める味の良い手。1日目はやや先手ペースで進んだかと思われたが、封じ手からの攻防を経て、55手目▲7九角と先手の角が使いにくくなったあたりでは、後手も悪くない展開に。依然難しい形勢が続いたが、盤上右側の戦いで渡辺が対応を誤り、先に敵陣に龍を作った羽生がペースを握った。その後はわずかのリードを最後まで保った羽生が的確に後手玉を寄せ切り、111手で勝利。中盤で引いた▲7九角も最後に先手玉の詰みを防ぐ等、先手の角の使い方が印象的な将棋だった。勝った羽生は開幕2連敗後2連勝、シリーズ成績を2勝2敗のタイとし、改めての三番勝負となった。

 この模様は、第3局の副立会いを務めた飯塚祐紀七段が出演する徹底解説番組 「第63期王将戦七番勝負」にて3月19日(水)午後10時~より放送。

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