第63期王将戦七番勝負渡辺明王将対羽生善治三冠第5局

 第63期王将戦七番勝負第6局は3月12、13日に島根県大田市「さんべ荘」にて行われた。渡辺王将が勝てば初防衛となる本局、注目の戦型は第3局と先後を入れ替えての急戦矢倉となった。37手目▲3七桂までは第3局と同じ進行となり、38手目△3一玉で後手の渡辺が手を変えた(第3局は後手の羽生三冠が△6二金)。駒組みが一通り済んだところで、45手目▲1五歩を皮切りに羽生が仕掛けた。47手目▲6五歩と先手が角交換を挑んだところで渡辺が1時間21分の長考をし、そのまま1日目が終了。
 2日目、渡辺の指した封じ手は△5七歩。手の広い局面であったが、渡辺は曲線的な手を選択。対する羽生はシンプルな手を積み重ねて次第にペースを掴んでいく。普通に指していては苦しくなると見た渡辺は、銀取りを無視して64手目△3九角と飛車取りに当てて勝負に出た。対する羽生もこの飛車取りを無視して▲6三歩成と敵陣にと金を作り、一気に局面が激しくなった。以下、互いに飛車を取り合う華々しい展開となったが、結果的にこの攻め合いは先手に分があった。75手目▲1三歩が地味ながらも強烈な攻めで、この手が決め手となった。先手の持ち駒が豊富にあるため後手玉は粘りが利かない。最後は86手目△3八金と渡辺が形を作ったところで、羽生が▲1三角から後手玉を即詰みに討ち取り、101手で勝利した。
 王将戦七番勝負はこれで3勝3敗のタイとなり、フルセットに。シリーズの行方は3月26、27日に行われる最終第7局に委ねられることとなった。

 この模様は、第5局の立会いを務めた深浦康市九段が出演する徹底解説番組 「第63期王将戦七番勝負」にて4月16日(水)午後10時~より放送。

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