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2014.10.27

第9回 棋聖戦就位式取材後記 

   このコラムのタイトルは「イゴショー記者から見た将棋界」ですが、読者の方の中には「記者といっても何をしてるんだ?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。例えば新聞や雑誌の記者なら記事を書いたり写真を撮ったりするのが仕事ですが、囲碁・将棋チャンネルでは、それに加え映像の撮影もすることになります。今回は、先日行われた棋聖戦就位式での取材の様子をお伝えします。
 10月21日、午後6時。通常業務を終え、会場であるザ・キャピトルホテル東急へと向かいます。会場に到着したら、まず受付……の前に、大事なことがあります。建物の外観を撮らなければならないのです。三脚を広げて撮影。この時にアングルや構図に凝りすぎると、うっかり開始時刻に間に合わなくなる恐れがあるので程々にしておかなければなりません。
 今度こそ会場に入り、色々な人に挨拶をするうちに開会となります。僕は右前方に陣取り撮影を開始しました。様々な人がスピーチをし、最後に羽生棋聖が謝辞を述べます。プロ棋戦の撮影の際は、対局室では三脚が使えないため手ブレとの闘いが続きますが、このような式ではその点はだいぶ楽になります。プロ棋戦の撮影の模様は、またいずれご紹介することにしましょう。
 スピーチも終わり、ようやく乾杯。とは言え料理に手をつける余裕はなく、次はどんどん棋士にインタビューをしていきます。
 断る人はめったにいませんが、棋士の反応も人によってさまざま。こういった場に必ず姿を見せるのは田丸九段。インタビューにも歯切れよく答えてくれるので、ついつい毎回お願いしてしまいます。カメラを構えると、正面を向いて姿勢を正して……という棋士がほとんどですが、田丸九段の受け答えは自然体。話している途中でワインに手をつけたりもしますが、質問には丁寧に答えてくれます。  興が乗ってきてずっと話し続ける先生もいます。以前のことですが、加藤九段にインタビューをお願いした時、途中で熱が入ってきたのかカメラに段々近寄ってきて、こちらが後ずさりしながらの撮影という奇妙な構図になったことがありました。
 今回の就位式は、ファンの方も参加しています。せっかく参加したからには棋士とたくさん話をしたいというのが人情というものです。すると、棋士の前にはファンの列が並ぶことになるので、取材をする際はタイミングをうかがいながらということになります。なかなかファンの列が途切れない深浦九段をやや遠巻きに眺めながら、僕は内心焦っていました。すると、それを察してか、深浦九段の方から話を切り上げて、こちらに声をかけてきてくれたのです。僕は気を遣わせてしまったことを反省すると同時に、深浦九段の気遣いに感謝しました。

談笑する羽生棋聖。
盤の前ではまず見られない笑顔。

 最後に、羽生棋聖にインタビュー。当然のように長蛇の列……のはずが、僕が行ったタイミングは終わり際でたまたま人が少ない時間帯だったのか、割とすんなり話を聞けました。羽生王座の受け答えは常にさわやかで明快。インタビューするこちらまですがすがしい気持ちになります。

  こうして撮った映像は、番組で使われることもあれば銀河将棋チャンネルで使われることもあります。意外と多いのがお蔵入りで、そんな時は少しがっかりすることになりますが……
 今回は就位式の取材の様子をお伝えしましたが、この時の映像は銀河将棋チャンネルで見ることができます。興味をお持ちになった方は、ぜひご覧になってください。

http://ch.nicovideo.jp/ginga-shogi
 

 当コラムは、二週に一度のペースで更新していく予定です。 また、皆様のご意見ご感想、取り上げてほしい題材などお待ちしております!お問い合わせメールフォームよりお送りください。
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