2014.11.17
第9回 日常生活における将棋用語 |
そして、それだけ多くの用語があれば、そのうち日常生活にまで侵食してくるのも必然のこと。今回は、将棋界の人間が日常的に使う将棋用語をいくつか紹介してみましょう。
僕が最も頻繁に耳にするのは「終電が詰んだ」という表現。プロの公式戦には決着が夜遅い時間になる棋戦がいくつかあります。対局者にとっては終電どころではないでしょうが、検討陣はそうもいきません。0時を回ると「終電が詰むので」と言って帰宅する方がちらほら。検討中の対局が熱戦になって帰るに帰れず、「(対局者に)終電を詰まされました」というケースもあります。これの派生形として「日程が詰む」という表現もよく使われます。例えば、仕事などの日程を決める際、空いている日がないと「11月は詰みですね」などという言い方をします。
「~が詰む」程ではないにせよ、しばしば使われるのが「味が良い」という言い方。
そもそも盤上において「味が良い」という表現は「ちょうど良い、感触の良い手」という意味で使われます。これが日常生活においてどのように使われるかというと、本当にくだらない場面で使われるのです。例えば「味良くエレベータが来た」といった使い方や「新宿で研究会をした帰りに、味良くショッピングをして帰ろう」という具合です。反対に、一般的に広く使われている将棋用語にも関わらず、将棋界ではめったに使われない言葉もあります。その一つが、人が倒れるときの「将棋倒し」。やはりマイナスイメージのある言葉だけに、口にするのがはばかられるということなのでしょう。
将棋界の人間が集まる東京将棋会館の桂の間。ここでは盤上のみならず、盤外でも多くの将棋用語が用いられる。
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