2014.12.10
第10回 全国アマチュア王将位大会レポート |
今大会の本命は、やはり3連覇中の今泉健司さん。前夜祭でも「今泉さんの連覇を止めたい」と決意表明をする方が多数。その今泉さんは、現在プロ編入試験の受験中。大会10日前に行われた編入試験第3局に敗れ、プロ編入決定が持ち越しとなったためにアマ王将戦へ参加となりました。今泉さんは自身の挨拶内でその話題を持ち出し「これは将棋の神様がアマ王将戦を4連覇しろと言っているのだと思っています」と他の選手に挑戦状を叩き付ける一幕も見られました。
さて、大会当日。中川八段の号令により一斉に対局が開始……とは行きませんでした。優勝候補の一角である清水上さんが来ていないのです。遅刻するような人じゃないのにと首をひねる関係者。チェスクロックのボタンが押され、刻一刻と30分の持ち時間が減っていきます。いよいよ不戦敗かと思われたその時、ついに清水上さんが会場に姿を見せました。残り時間は2分1秒。ぎりぎり不戦敗は免れたものの、大きなハンデには違いありません。ところが、結果はなんと清水上さん勝ち。後で聞くところによると、開始時間を勘違いしていたとのことで、薄氷の勝利となりました。
本大会の出場選手は27名。これだけの人が集まれば、対局姿も人それぞれ。気合をこめて着手する選手、反対に淡々と着手する選手もいます。特徴的だったのは生川康太朗さん(関西)。前傾姿勢で盤上に没頭する様子は、大柄な体格ということもあり、15歳にして加藤九段の対局姿を彷彿とさせます。駒を持つ時は大きなモーションで溜めをつくり、そのまま叩き付けるかと思いきや、一転してソフトに着手とここも個性的。
予選が終わり、決勝トーナメントの抽選会。2枠だけのシードをめぐって悲喜こもごもの光景が見られます。清水上さんがシードを引くと、すかさず「遅刻してきてシードを引くなんてずるい」との声。自身がクジを引く前にシード枠が埋まってしまった下平雅之さん(アマ竜王)は「もうどこでもいいです」。
全国大会一日目の様子。全国の強豪が一堂に会した。
今泉さんは自他ともに認める本命ですが、選手の間で「今最も勢いに乗る男」として注目されていたのが鈴木肇さん(北関東)。しかしその鈴木さんは決勝トーナメント一回戦で生川さんに敗北。対局室の外のソファにもたれているところに声をかけると、「こんなに早く終わって、これからどうすればいいんですか」との返事。しばらくして、他の選手達と連れ立って出ていきました。見事鈴木さんを討ち取った生川さんも、続く準々決勝で中川慧悟さん(関西)に敗れ、快進撃もここまで。
そうこうするうちに2日目に残る選手が決まっていきます。ベスト4に進出したのは今泉さん、中川さん、渡辺俊雄さん(北海道)、小林知直さん(北陸)。今泉さんは結果もさることながら、内容も非常に安定したもの。結果は既に公開されていますが、対局の模様は囲碁・将棋チャンネルでお楽しみ下さい。
※第31期全国アマチュア王将位大会は以下の時間で放送予定です。
準決勝①小林-中川戦 2015年1月31日(土)20:00~21:36
準決勝②今泉-渡辺戦 2015年2月28日(土)20:00~21:36
決勝戦 2015年3月28日(土)20:00~21:36
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