2015.01.07
第11回 アマチュア銀河戦全国大会準決勝 |
大会当日、午前9時。続々と選手が集まり、まずは準決勝の相手を抽選で決めます。通常、このレベルになると「どうせ自分が勝つ=誰と当たっても気にしない」という方も多いですが、今回は少々様子が違います。というのも、下馬評では圧倒的な選手が一人出場しているからです。それが鈴木肇さん。前回のコラムでも少し紹介しましたが、2014年の平成最強戦を制すなど、今最も勢いに乗る選手。
さて、その鈴木さんと対戦することになったのは桑江裕丈さん。「できれば鈴木さんとは当たりたくない」と事前に語っていた桑江さんですが、当たってしまったものは仕方ありません。対局が始まりしばらくして見に行くと、局面はガチガチの相穴熊で、絶対に負けたくないという気持ちが伝わってきます。肝心の形勢はというと、やはりというべきか桑江さんが苦しそう。鈴木さんの表情にも心なしか余裕がうかがえます。勝つのは結局鈴木さんかと思った僕はもう一局の準決勝、上田裕典さんと長谷川大地さんの対局に目を向けました。こちらは二人とも大学生というフレッシュな対決。まだ大きな実績はありませんが、この対局の一週間前に行われたアマ王将戦でも、経験豊富な全国トップクラスを相手に堂々と渡り合い実力を示しています。趣味はスポーツ観戦、笑って楽しくできることが好きだという上田さんと、趣味は陸上で生真面目な雰囲気を漂わせる長谷川さんという、好対照な組み合わせです。
ところで、本棋戦の全国大会の出場者は4名。すなわち全国大会一回戦が準決勝ということになりますが、実はこの準決勝が知る人ぞ知るアツい勝負なのです。というのも、決勝まで進むとプロ公式戦の銀河戦出場権を得られるからで、見方によっては決勝戦以上に重要な勝負とも言えるでしょう。もちろん選手たちもそれは百も承知。となれば、この準決勝が熱戦になるのも自然なことで、2局とも秒読みが長く続く戦いとなりました。
先に終わったのは上田‐長谷川戦で、長谷川さんが勝利。アマ王将戦で話をしたときは温厚な方という印象を受けた上田さんですが、さすがにこのときばかりは険しい表情。勝った長谷川さんもスーツを腕まくりし、胸ポケットに着けていた名札も90度直角に傾いているなど熱戦の跡が伺えます。そして、その隣では鈴木‐桑江戦が進行中。いつの間にか形勢が難解になっているようで、二人とも盤に覆いかぶさるようにして考えています。
準決勝は東京将棋会館の高雄の間で行われた。勝った方が決勝収録対局進出・銀河戦出場権獲得と、懸かっているものがあまりにも大きな一番である。
二局とも長時間の熱戦とはいえ、まだ一局しか指しておらず、時刻は午前11時を回った程度。遠方から来て一局だけしか指さずに帰るというのは辛いものですが、準決勝の勝者はいずれも関西からの遠征。一局では終われないという気持ちがより強かったのかもしれません。
こうして、決勝戦は桑江‐長谷川戦というカードになりました。どちらも全国大会決勝戦は初めてとのこと。まずは銀河戦出場という大きな目標を達成した二人ですが、次は全国制覇という栄誉がかかった勝負が待っています。決勝戦の模様は1月24日(土)20時から放送されますが、勝敗はアマ銀河戦特設サイトで既に公開されていますので、先に知りたい方はこちらでご確認ください。
※アマ銀河戦特設サイト http://www.igoshogi.net/shogiCATV/ginga2014/zenkoku.html
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