2015.05.21
第16回 「空前絶後の縁台将棋大会」取材記 |
かつて、将棋を指す場は将棋道場に限りませんでした。庭先や路地に縁台と将棋盤を出して対局する縁台将棋が良く見られたのです。縁台将棋は昭和の時代には盛んでしたが、いつしか縁台自体が使われなくなると同時に姿を消していきました。
去る5月6日に下北沢で行われた「シモキタ将棋名人戦」は、そのような時代の流れに反発するかのようなイベントです。
前半戦正解発表の様子。この大会では、トッププロから小学生まで、同じ土俵で勝負をする。
当日の天気は快晴。縁台将棋の最大の敵とも言える天候を味方につけ、まずはスタッフも一安心。開会式(これも当然路上で行われます)を終え、参加者は思い思いの場所へと散っていきます。そう、これだけの規模のイベントとなると、とても一カ所ではできません。将棋大会は駅の北口、囲碁大会は南口、指導対局は駅から少し離れた通りといった具合に、あちらこちらを使って行われます。
ここは将棋コーナーのようだが、実は奥のテーブルでやっているのはバックギャモン。この何でもあり感が「空前絶後」と言われるゆえんでもある。
シモキタ将棋名人戦。熱が入るあまり(?)最終盤で長考の応酬となる対局も。
このイベントの主催代表は下平憲治さん。バックギャモンでは国内第一線で活躍し、将棋も県代表クラスというボードゲームの強豪です。下平さんに下北沢の魅力を伺ってみました。
「私は下北沢に35年住んでいますが、音楽・演劇・アートや囲碁・将棋などいろいろなカルチャーが凝縮した街。文化度が高く、それが下北沢の魅力です。」
無事にこの日を迎えて「今日は天候も良くイベント日和。参加者の方々には盤上では真面目にやりつつも、グラス片手にぐらいのつもりで気軽に楽しんで欲しい」と語りました。
西日が差すころになって、各大会の優勝者が決まっていきます。将棋の部の優勝者は中学生の大塚翔生くん。いきなりみんなの前でマイクを渡されて戸惑うも「苦戦続きでしたが優勝できてうれしいです」と照れながらコメント。
最後はゲストで来ていた郷田王将が「素晴らしい大会。皆様のご協力を得て長く続けてほしい」と総括し、大盛況のうちにお開きとなりました。
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