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2015.09.25

第20回 社会人団体リーグ戦

 ペア将棋等の例外はありますが、一般的に将棋は一人で指すものです。その影響でしょうか、将棋大会も個人戦が圧倒的に多いようです。とはいえ、団体戦が全くないという訳ではありません。将棋界の2大団体戦といえば、日本将棋連盟主催の「職域団体対抗将棋大会(通称:職団戦)」と東京アマチュア将棋連盟主催の「社会人団体リーグ戦(通称:社団戦)」が挙げられます。職団戦が同一職場内の5人でチームを組む大会であるのに対し、社団戦は誰とでも自由に組める7人1チームの大会です。名前に「社会人」と入ってはいるものの、子どもでも参加することができ、実際に小・中学生を軸としたチームもあります。「リコー」「オール東大」のような企業・学校のチームから、友人同士で集まったチームまで、その編成は様々です。
 社団戦の特徴は、とにかく参加人数が多いこと。今年度の参加チーム数は170チームで、計算すると何と1,190名!この170チームが1部~6部の各クラスに分かれ、半年をかけてクラス内でリーグ戦を行っていくというしくみです。普段ほとんど将棋を指さない僕でさえ、この大会には誘われて参加しています。それ位大規模な大会ということです。
 9月20日(日)の東京都立産業貿易センター浜松町館。この日は今年度の最終戦で、半年間の決着が着く大事な日。
 会場に着くと、人、人、人。芋を洗うような人混みのなか、チームのメンバーを探すのも一苦労。1000人を超える人たちが一斉に将棋を指す様は壮観です。
 さて、対局が始まってしまえばいつも通り……とは行きません。とにかく人が多いため、必然的にギャラリーもかなりの数になります。僕はといえば、中盤で見落としをして思わず長考。ふと視線を感じて目をやると、こちらを見る数人の観戦者。あんまり見ないでくれよ。そんなことを考えている内にも観戦者がどんどん増えていきます。一たび集中が切れると、今度は周りの声が気になりだすものです。「これは勝ちパターンに入ったね……」「やっちゃったよ……」自分の対局を見ての発言かどうかは分かりません。しかし、気になってさらに集中力が落ちる悪循環。通常の大会では、観戦者が雑談するという光景はまずありません。しかし、これぐらいの規模になると、これも普通に起こり得ること。割り切って集中できる人が強いということになります。

社団戦の対局風景。1000人以上の人が将棋を指す様は壮観の一言。

 この大会は、運営する方も大変。1000人分の机・椅子・盤駒・対局時計を運営だけで準備することはとてもできません。そこで、参加チームの中から当番を決め、準備や片付けを手伝うというシステムになっています。選手も一度参加すれば運営が大変なことを感じ取れるのか、積極的に手伝いをしているようです。この大会も今年で26回目。運営と選手が一体となってこの大会を作っていると言えるでしょう。
 終局後の感想戦では団体戦ならではの光景も。大会では、終局後もその対局の余韻を引きずってお互いに無言になるという光景もよく見られます。しかし、この社団戦ではそのような光景は比較的少なく、感想戦は割と和気あいあいとした雰囲気で、時には両チームの他選手を交えて行われることもあります。一局一局は個人戦でも、やはり団体戦の中の7分の1という意識が、勝負の重さを多少緩和しているのでしょうか。
 さて、全対局が終わり、1部から6部までの表彰式が行われます。ですが、あまりに表彰チームが多いためか、あくまでさらっとしたものという印象。それよりも、終了後の打ち上げを心待ちにしている人もいるようです。そう、社団戦のもう一つの楽しみがこの打ち上げ。多くのチームが近くのお店で、反省会という名の打ち上げを楽しむのです。中には昼間対戦したチームと偶然合流ということも。こうなってしまえば結果が良かったチームも悪かったチームももはや関係なく、楽しい夜は更けていくのでした。


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