2015.10.27
第21回 東と西に見る対局用具の違い |
これらの道具に関して、全ての対局において同じものを使用するかというと、そうではありません。例えば将棋盤や駒には格があり、格の高いものは上位の棋士の対局で使用される、といった具合です。その他の小物類は基本的に同じもの……と言いたいところですが、実はそれも違っていて、東京将棋会館と関西将棋会館では全く異なるものが使われているのです。
こちらは関西。コンパクトにまとまっていて、シックな雰囲気が漂っている。
これは東京の対局の様子。大きな座布団と脇息が特徴的。
写真をご覧いただければお分かりのように、東京と関西では様々な違いがあります。例えば脇息。東京の脇息はカバーをかけてありますが、ポイントはそこではありません。よく見ると、大きさが異なるのです。東京の方が若干大きそうに見えませんか?実際に棋士に聞いてみたところ「関西のほうがちょっと高さが低いんですよね」との答え。もっとも、見た目の高級感は関西に軍配が上がりそうで、どちらが優るかは難しいところ。また、お盆は関西の方がきれいなものを使っているようですが、座布団は東京の方が分厚かったりと、なかなか甲乙付け難いといったところでしょうか。
僕が初めて関西に行ったとき、最も衝撃を受けたのが駒台。一番下の写真をご覧ください。何か違和感を覚えた方はいらっしゃるでしょうか。そう、駒台が長方形なのです。皆さんが使うものは、正方形のものが多いはず。そして、東京の公式戦でも駒台は正方形です。思わず関西の棋士室で「変わった駒台ですね」と聞いてみたところ、関西の公式戦ではむしろ長方形がスタンダードとのこと。そして「将棋の駒は縦長だし、駒台も縦長の方が乗せやすくていいんじゃないんじゃないかなぁ」と続けました。また、別の棋士は「全然気にしたことがなかったけど、言われてみれば東と西で形が違いますね」続けて「よく気づきましたねぇ」。
以前この欄で、飲み物や扇子、腕時計などの自分で準備する小道具には、神経を使う棋士が多いということを紹介しましたが(第1回参照)、他人が準備した道具に関してはさほど気にしないという棋士も案外多いのかもしれません。
関西の盤駒セット。よく見ると駒台が縦長だ。
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