2015.12.02
第22回 第5回将棋ジュニア銀河戦準決勝 |
立派な対局室で、本格的な盤と駒を使っての対局。ちなみに、この部屋ではほんの8時間程前までC2順位戦が戦われていた。
開会式も終わり、審判長の屋敷九段の号令で対局スタート。始まって少し経った後、屋敷九段に話を聞いてみました。
「國井大彰君って子は大人の大会でも県代表になっているんですよね。今回も優勝候補ですかね」
「そうねぇ、でももう負けそうでしたよ」
「えっ?」
聞くところによると、どうやら序盤早々飛車銀の両取りを掛けられてしまったそう。
「しかも、相手の豊石君がその後もうまく差を広げてるんですよね」
豊石敦君は富山県の中学一年生。棋力は初段との申告ですが、このまま勝ち切れば大変な大物食いということになります。
もう一方の準決勝は、小学五年生の荻生浩気君と中学一年生の青木渓真君。荻生君も富山県在住で、豊石君と団体戦でチームを組んだこともあるそうです。「受け将棋でリスクの少ない手を指すようにしている」と若干子どもらしくない(?)棋風。対する青木君は、前回準優勝。「将棋会館は憧れの場所。今年は優勝を目指します」と事前に抱負を語っています。こちらはだいぶゆっくりとした進行ですが、少しずつ青木君がリードを広げつつあるようです。
開始から数十分が経ち、そろそろ持ち時間もなくなってくる頃。豊石君がリードしたまま終盤に入っています。先に秒読みに入ったのは國井君。対する豊石君は数分残しています。これは実はすごいことで、実戦心理としては、格上相手に有利になった場合、どうしても慎重になりすぎて持ち時間を使い切ってしまいがち。そして秒に追われて逆転負けというのが、よくある逆転のパターンなのです。
これはやったかと思われましたが、ここから國井君があの手この手で勝負に出ます。開き直って攻めたかと思えば、今度は自陣に駒を大量に埋めてごちゃごちゃさせるなど、中学生にして百戦錬磨という雰囲気です。豊石君もさすがに混乱したか、寄せを誤ってついに逆転。大熱戦を國井君がものにし、決勝へと駒を進めました。
「最初は相手の罠なんじゃないかと」疑心暗鬼になりながらも優勢に進めた豊石君は無念の敗退。しかし、感想戦の終わりに「決勝戦頑張ってください」と國井君に声をかける姿はとても立派なものでした。一方、大ポカからスタートしながらも大逆転勝利を収めた國井君は「ひどかった」を連発。
「練習将棋でもこれ位の逆転を経験したことがあるので、諦めなかった。逆転するつもりで指し続けました」
やがて、荻生君と青木君の対局も終局を迎えました。こちらは青木君が少しずつリードを広げ、慎重に勝ち切りました。青木君は昨年も東京将棋会館での対局を経験しており「2回目なので、落ち着いて指せました。去年より強くなっている実感もあります」とコメント。対する荻生君は「(東京将棋会館での対局は)やっぱり緊張しました」とのことで、経験の差が勝敗を分けたのかもしれません。
この結果、決勝は國井君と青木君の対戦となりました。決勝戦の模様は1月23日(土)20時から放送されますが、結果はジュニア銀河戦特設サイトで公開されていますので、気になる方はそちらをご覧下さい。
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