2016.1.27
第24回 指し初め式 |
さわやかな青空の下、祈願祭が行われた。
祈願祭が終わると、一行はぞろぞろと将棋会館の特別対局室に移動。特別対局室をぎっしりと座布団が埋め尽くし、数十人もの人が詰め込まれます。それでも全員が一度に入ることはとてもできず、廊下にあふれ出す人も。
さて、最初に盤前に座ったのは谷川浩司会長。対するは名人か、それとも竜王?いえいえ、谷川会長の前にちょこんと座ったのは、子どもスクールの男の子でした。思わず和む一同。
大勢の棋士・関係者が見守る。この後初手▲7八飛が指され、
対局室は笑いに包まれた。
関東の指し初め式は、一つの将棋盤を使い、一手指したら交代というゆったりとしたムードの中行われます。座る位置にも大まかなルールがあり、上座が棋士チーム、下座が関係者チームという組み分けのようです。普通に指せば棋士チームが勝ってしまうのでしょうが、指し初め式では決着をつけないという暗黙の了解があるため、気楽に指しても問題ありません。ですが、関係者チームはやはり長考が目立つ様子。やはり大勢の前で変な手は指せないというプレッシャーがあるのでしょうか。指す手が分からない時は端歩を突くのが無難とされていますが、端歩を突くことができるのは1筋と9筋の先着2名様のみ。その2名も早々に埋まり、いよいよ後続にプレッシャーがかかります。
苦労するのは棋士チームも同じ。それは、勝たずに長引かせなければならないため。はっきりと優勢の局面で順番が回って来た伊藤明日香女流初段は、思わず長考。「えっと、長引かせないと…」という呟きに対し、外野は「指したい手を指せばいいよ」と気楽なもの。指し初め式にしては大長考となる数十秒の考慮の後、伊藤女流初段は思い切って攻めを選択。
結局、なんとか決着が付く前に全員が指し終えることに成功し、無事(?)指し掛けとなった指し初め式。終了後は隣の大広間へ移動し、谷川会長の乾杯により2016年の将棋界が盛大に幕を開けました。
* 三間飛車にこだわりを持つ一部の棋士のみが好んで用いる、非常に珍しい手。
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